朝が来なければいいのに・・・

 この病気がわかって、整形外科からの薬を処方してもらったので
あれば、この痛みが取れるのでよかったと思うのが当たり前のことだとおもう。

 しかし、この病気はそんなものではなかった。
 いや、朝がとてもつらいというのは、本人しかわからない。
 いまでも、そうなのだが、朝が本当につらい。
 朝が来なければいいのに・・・。
 とおもうことがあるらしい。
 
確かに、このリュウマチ性多発性筋痛症の場合、そのほとんどの患者さんが、この痛みとどうつきあっていくのか。
 
ここがポイントになるといえるのではないだろうか。

 わたしの母の場合は、早朝がつらいらしい・・・。
 私がちょうど、早朝、トイレに入ろうと思った矢先、何かうなされていう声に驚いたのである。
 
「うっ。ギャー」という声だ。
わたしは、びっくりして、母の部屋にはいると、そこには、激痛に耐えている母の苦痛な叫びがそこにあった。

しかし、私の母の場合、日中や夜は、そこまで痛みをだしていないものだから、この変貌にとてもびっくりした。

  あらゆるところが痛い。
  摩るのもいたい。
  何をされることもとてもとても痛いのである。

  後で、インターネット等で検索をしたところ、この痛みが尋常 ではなく、この痛みのせいで、うつになる人もいるという。
 それほどまでして、痛みが生じるとはわたしもびっくりした。

  そのときの私は、この病気について無知であったため、
  何もできなかった。

  恥ずかしいことではあるが、わたしは、施術者だ。
  国家試験ももっているし、それなりに勉強もしてきた。
  しかし、自分の身内がこのような状況になると、どうして
  いいのか。わからず、ただ、慌てふためいた。

  いろんな文献を探すにも、この病気についての東洋医学的
 アプローチのものは私が探すかぎり皆無だった。

  そこで、わたしはダメ元で、藁もすがるきもちで、東洋医学
 でこの疾患を専門にやっている病院を探し、その先生に話を
 した。

  すると、鍼や灸などをつかいながら、その先生は治している
 という。ちなみに、その先生はステロイドはつかわないという。
 私は、失礼ながら、事情をはなすと、あなたも治療家なら、
 自分で研究することだ。
 それが後々役に立つ。といわれ、血眼になって探した。

 そして、一つの理論に達した。
 
 それは、まずは、冷えをとること
 なぜなら、筋肉が硬直していると同時に
 末梢まで血液が流れていないためか、冷たいと感じたからだ。

 そして、東洋医学的臨床で症をたてること
 という基本とともに、
 わたしはある道筋をたてた。

 私が実際にやっているのは、
 まず、
 遠赤外線のきいた器具をつかって、
 冷えを取る
 
 ただし、普通のお灸ではあまり効果がなかった。
 そこで試行錯誤したうえで、遠赤外線治療が効果があった

 それと同時に、症をたてたものをつかって、
 鍼をさしている

 また、この病気は、朝のこわばりが特にひどいので、

 朝はやく(5時から2時間)から施術を始めた。

 すると、最初は堅かった筋肉がジョジョに柔らかくなる。
 柔らかくなると痛みもとれてくるのである

 しかし、いたみというのは、ひとそれぞれであるし
 また、痛みのスケールも個人差がある。
 そこで、わたしは、昨日と比べるとどのぐらいの
 痛みなのか。
 ということをききながら、毎日施術をしている。

 とはいえ、恥ずかしながら、日々試行錯誤である。
 毎日が苦労と失敗の連続である。

 しかし、それがすこしでも痛みがとれ、かつ、
 日常生活が過ごせるようになったらこれに越したことは
 ない。

 治療家として、家族を救えないで、他人の患者様を
 救えるのか。ということを言い聞かせながら、今日も
 切磋琢磨する。

 母がいう。
 私はまだ、治療家である息子が近くにいたから
 よかった。
 でも、もし、近くにいなかったら・・・。
 そうおもうととてもつらい。と母はいつもいっている。

 まだ、痛みがすべてとれているわけではない。
 また、気圧の変化でも痛みはちがうし、まだ、
 きちんとしたエビデンス(科学的根拠)もとれていない
 のが事実である。

 しかし、いつの日か私の施術がなくても、朝おきるのが
 楽になり、かつ、朝が来なければいいのに・・・。
 ということがいえなくなるようにがんばりたいとおもう。

 朝が怖い。
 そのことはとても、とても、悲しいことであるし、
 生きる尊厳を阻害しているものではないかとおもう
 からである。